入院される患者さんやご家族の皆さまへ
入院生活は普段の生活環境と大きく異なります。その環境の変化に、病気や怪我による体力や運動機能の低下が加わり思いもかけない転倒・転落が起こる可能性があります。
高齢者の方は特に注意が必要です。突然の環境の変化と体力低下に、加齢に伴う認識力や運動能力の低下が加わって、結果として深刻な事態を招く恐れがあります。高齢者の寝たきりを引き起こす原因の多くは、転倒・転落による骨折や頭部の外傷です。
当院では必要に応じ、様々な転倒・転落防止用具、あるいは重大な事象を軽減する補助具を活用しますが、*病院で発生する転倒・転落の3/4は患者さんの自発的な自力行動によって発生しているという研究報告もあり、患者さん個々の行動予測が難しく、対策により件数を減らすことはできてもゼロにすることはできません。
当院では、入院における生活環境を整備しながら転倒・転落の予防に十分に注意して、安全で快適な入院生活を送っていただくよう努力いたしますが、さらに安全を高めるためには、ご家族のご理解、ご協力が欠かせません。家庭での生活(特にここ1年での転倒歴など)の様子について是非情報提供をお願いいたします。
ご心配なことがありましたら遠慮なく担当医や看護師にご相談ください。
*文献:川村治子「転倒・転落.ヒヤリ・ハット11,000事例によるエラーマップ完全本」医学書院,2003,p.66-82.
思いもかけない転倒・転落を起こしやすい行動例
- トイレに行こうとした時や排泄動作時
ベッドから降りる時やトイレなどでの起立・着席・方向転換時は注意しましょう - ちょっと物を取ろうとした時
住み慣れた生活環境とは違うことを意識しましょう - 睡眠安定剤や下剤、尿が出やすい薬などを内服している患者さん
薬の効果により普段の動きができなくなっている可能性があります