当院では、2024年11月から心房細動に対してのカテーテルアブレーションの新しい手法であるパルスフィールドアブレーションを導入いたしました。
心房細動は不整脈の中でも最も患者さんが多く、主には動悸や息切れなどの症状を伴います。無症状の方も多く、自分では気がつかないまま健康診断で偶然発見されることも少なくありません。心房細動は当初は症状が軽くても、将来的に心不全や脳梗塞の原因となることが知られています。
心房細動に対しては従来からカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)が広く行われており治療法の一つとして確立しています。当院でもこれまでに1500例以上のカテーテルアブレーションを行ってきております。
パルスフィールドアブレーション (Pulsed Field Ablation)
パルスフィールドアブレーション (Pulsed Field Ablation) は、心房細動の治療に使用される新しい方式のカテーテルアブレーションです。この技術は、極めて短時間の高電圧パルスを用いて、心筋細胞を選択的に傷害することで、心房内の異常な電気信号の伝導を遮断し、心臓のリズムを正常化する治療になります。従来の心房細動アブレーションで使用されてきた高周波通電や冷凍凝固(クライオアブレーション)と比較して、心筋細胞を特異的に標的とすることが可能であり、心臓の近くの臓器である食道や神経などの損傷リスクが低く、この選択性により治療の安全性が大幅に向上しています。パルスフィールドアブレーションの有効性と安全性は多くの臨床試験で検証されており、従来のアブレーションと比較して効果は同等以上であり、合併症の発生率が低いことが示されています。
日本でも2024年秋から正式に開始となり、当院でも2024年11月からMedtronic社製Pulse Selectおよび2024年12月からBoston社製Fara Pulseを導入しており、現在多くの患者さんの心房細動アブレーションに使用しております。
当院は不整脈専門施設としての認定を受けており、引き続き安全で効果的な治療を提供できるように努めて参ります。