水晶体や網膜の難治性疾患に対応可能です
巷間でのコロナ感染は、まだまだ予断を許さない状況ですが、当院での感染対策が十分に実施されていることが皆様に周知されてきたためか、一時、大きく落ち込んだ外来と入院の患者さんの人数は、かなり元の状況に戻ってきていると感じています。それに伴い3密(密集・密接・密閉)が気になる場面が、これから増えてくるかもしれません。眼科としても気を緩めずに感染対策を継続していこうと考えています。
さて、当科では眼科全般にわたる診療を行っております。白内障や緑内障をはじめ、角膜の病気や斜視・弱視などの患者さん、あるいは外傷の患者さんなどもご紹介をいただいております。結膜炎やドライアイなどは、開業の先生で対応可能な場合が多いためか、ご紹介いただく患者さんは少ない印象があります。今回は、そのような診療の中でも、当科の特徴といえる網膜疾患や一般的な白内障手術では治療のできない特殊な水晶体疾患への取り組みについてご紹介させていただきます。
網膜疾患と聞いて皆様は何を思い浮かべますか?網膜剥離の発症率は約1万人にひとりと言われ、比較的少ない疾患ですが、失明につながりかねない怖い病気としてご存知の方も多いのではないかと思います。網膜剥離は診断がついたら、できるだけ早急に手術をしないと治癒しにくくなるばかりでなく、治癒後も視力が下がったままになる場合があります。当科では網膜剥離の手術に対応できる医師が2名在籍していますので、柔軟な対応が可能となっています。また、早急な手術のためには、眼科の努力以外に、手術室や病棟も即座の対応を要求されますが、当院では関係する各部署も即座に対応してくれますので、常に早急な手術が可能な状況になっています。糖尿病が網膜に影響することをご存知の方も多いと思いますが、この網膜疾患も重症化すると失明する危険が出てきます。その手術は非常に緻密で慎重な手技を要求されますが、当科はこのような疾患も得意とし、他の大学病院からも紹介をいただいております。
目を強く打撲すると、水晶体と眼球壁をつなぐ支えが外れ、水晶体が眼内に落下する場合があります。また、打撲がなくても偽落屑症候群やMarfan症候群などの疾患では、水晶体がずれたり眼内に落下したりする場合があります。ずれていない場合でも、これらの疾患では白内障手術中の合併症の割合が高くなることが知られています。眼内に落下した水晶体は通常の白内障手術のやり方では除去できません。また、白内障手術中に合併症が生じると、その先は通常の白内障手術の続行が困難になります。そのような場合、網膜の手術に使う機械と特殊な技術が必要となりますが、当科ではこのような手術にも対応できます。