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小児科

内服療法による乳児血管腫治療

 当院では乳児血管腫の内服療法を行っております。跡を残さずに治療してあげるためには早目の治療開始が大切です。お気軽にご相談下さい。

乳児血管腫とは

 乳児血管腫(以前まではいちご状血管腫と呼ばれていました)は、皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」の一種です(図1)。

 生後数週間後から目立ち始め、生後6か月もしくは1歳頃まで大きくなりますが、その後は自然に小さくなり、5~7歳までに赤みが消えてきます(図2)。

 数は1つだけのことが多いですが、複数個できることもあります。大きさは1cm以下の小さなものから5cmを超える大きなものまで様々です。血管腫は自然に小さくなることから、以前は特別な場合を除いて治療は行わないことが多かったですが、結果的に跡が残ることが稀ではなく、最新の情報では、30-70%の患者さんで跡が残ってしまうことが分かっています。

治療の必要性について

 一般的には、内臓、気道、目の周囲といった生命や機能に関わる部位、顔面や四肢などの目立つ部位に大きな血管腫がある場合には治療が勧められています。最近では、どのような血管腫(部位、大きさ、形状)が跡を残しやすいのか、ということも少しずつ分かってきました。血管腫は生後6か月もしくは1歳頃まで大きくなりますが、ピーク時の血管腫が大きいと、その後自然に小さくなったとしても結果的に跡が残ってしまいますので、大きくなる時期になるべく早く治療を開始し、ピーク時の大きさを可能な限り小さくすることが大切です(図2)。

ヘマンジオルシロップの内服による治療

効果:

 当院では、皮膚科の先生と協力して確実に診断した後に、内服療法による治療を行っています。内服療法は、ヘマンジオルシロップ(商品名はプロプラノロール)という薬剤を1日2回服用して頂く方法です。効果は患者さんによって異なりますが、とても高い確率で血管腫を小さくすることができ(図3)、血管腫の治療ガイドラインでは、他の治療法に比べて最も効果がある治療法であると記されています。

副作用:

 ヘマンジオルシロップはβブロッカーという種類のお薬で、元々は心臓疾患の治療に用いられていました。そのため、このお薬は頻度1%未満と少ないですが、低血圧、呼吸症状、低血糖などの副作用が生じることがあると言われています。したがって、治療を開始する際には少量から服用して頂き、徐々にお薬の量を増やしていきます。

内服療法の実際

 治療を開始する際には、数日間だけ入院して頂き、服用後に血圧、心拍数、呼吸状態、血糖値などに変化が現れないか観察させて頂いております。安全に内服できることを確認できたら、その後は約1か月毎に外来に通院して頂きます。入院と聞くと驚かれるかもしれませんが、お子さんの栄養方法(母乳、人工乳)やご両親のご都合に合わせて、患者さん毎に最も負担の少ない入院方法をご提案させて頂きます(1泊2日入院を3回繰り返す方法や、5泊6日入院など)。

レーザー照射による治療

 当院では内服療法だけでなく、皮膚科の先生からレーザー治療をお受けになることができます。大きな血管腫の場合には、内服療法とレーザー照射を併用する場合もあります。内服療法の副作用がご心配でしたら、レーザー治療を選択頂くことも可能です。皮膚科の先生とは常に連携を取っておりますので、いつでもご相談頂けます。

受診に際して

 治療を行うかどうかについては、ご両親とよくお話させて頂いた上で決定しています。お話だけ聞いてみたいというご希望でも構いませんので、乳児血管腫の治療でお悩みでしたら是非お気軽にご相談下さい。

主な治療担当医:山下敦己

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