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眼科

増殖糖尿病網膜症

増殖糖尿病網膜症とは

糖尿病によって網膜の血管が障害を受けた状態を糖尿病網膜症といいます。糖尿病網膜症が軽度の場合、眼底検査をすると、小さな出血点や硬性白斑と呼ばれる黄色の沈着物が見つかります。適切な治療を行わずに経過すると、新生血管と呼ばれる病的な血管が生じ、これが原因となって眼内に大きな出血(硝子体出血)や網膜剥離が生じてきます。この最も進行した糖尿病網膜症の状態が増殖糖尿病網膜症です。

症状

一般に糖尿病網膜症は初期ではほとんど症状はありませんが、増殖糖尿病網膜症による硝子体出血や網膜剥離が生じると急激な視力低下を自覚することが多くあります。糖尿病と言われていたが視力が良いので眼科に受診していなかった人が急に見えなくなったことで初めて眼科を受診し、増殖糖尿病網膜症と診断される場合があります。

診断

糖尿病の人が、眼底検査を受けて、増殖糖尿病網膜症に特徴的な硝子体出血・増殖膜・網膜剥離などが見つかれば、増殖糖尿病網膜症と診断されます。

治療

糖尿病網膜症が初期から中期の段階では、血糖コントロールやレーザー治療で網膜症の進行を止められる場合がありますが、増殖糖尿病網膜症まで進行すると一般的には手術をしないと病状は鎮静化しません。通常、手術は局所麻酔で行われます。眼球に機能の異なる何種類かの細長い器械を挿入し、硝子体出血の除去・網膜剥離の原因となる増殖膜の除去を行ったのち、浮き上がった網膜を空気または特殊な油の力を利用して、眼球壁に押し付けます。同時にレーザー治療もおこないます。1~2時間で終了する場合が多いですが、場合によってはそれ以上の時間を要します。入院期間は一般的には1週間前後です。1回の手術で網膜剥離が治らず、複数回の手術を要する場合があります。しかし何度も手術をしたにもかかわらず、病状を鎮静化できずに最終的に失明に至る場合があります。図1は進行した状態で発見された患者さんの眼底写真です。下と左に赤黒い硝子体出血が見えます。異常な血管を含む白っぽい増殖膜が眼底を覆い、正常の眼底写真に見られる視神経乳頭や黄斑が全く見えません。図2は術後です。無事、硝子体出血は消え、網膜剥離は治癒し、失明の心配は去りましたが、図1の程度まで進行した網膜症では視力はなかなか改善しません。早期発見、早期治療が重要だと考えます。

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