腎臓とは?
腎臓は後腹膜腔という背中に2つ、左右に存在します。
腎臓の働きは以下のようなものがあります。
- 尿を作って体をきれいする
- 貧血を防ぐホルモンを出す
- 骨を丈夫にするホルモンを出す
腎癌とは?
腎臓にできる癌を腎癌といいます。
現在、1年間に約10000人の方が腎癌と診断されています。およそ10万人に4〜5人の方が発症されます。最近増加してきている癌です。健康診断や別の疾患精査で偶発的に発見される癌『偶発癌』が増加しています(腎癌全体の6割が偶発癌)。診断は造影CTでほぼ可能です。一部困難な場合などは生検などの組織検査を行う場合もあります。特に日本ではCTが簡便に撮影できることもあり、偶然発見されることが多いので早期発見され、結果治療成績も良い可能性が指摘されています。
腎癌の治療
他の癌と違って抗癌剤や放射線治療が効きづらく、手術が基本です。
手術の方法を決める要因
1. 癌が4cm以下の場合
腎部分切除術(癌とその周囲だけを切除)
健常腎機能を最大限温存するため、腎癌部を含めた腎部分切除術を行います。
当科では腹腔鏡補助下小切開“無阻血・無結紮”腎部分切除術を主な術式としています。
2. 癌が大きい(≧4㎝)・腎部分切除困難な場合
腎摘出術
通常は腹腔鏡/後腹膜鏡で手術します。
癌が大きい場合は開腹手術になることがあります。
3. 癌が周囲に進行している場合
腎摘出術、他臓器の合併切除
癌が静脈内に及んでいる場合 腫瘍塞栓除去術(血管の中の腫瘍の塊を取る)を併せて行います。周辺の臓 器に浸潤している場合には、他の科の先生とも協力して腫瘍を切除することもあります。
4. 他の部分にも癌が疑われる場合
腎摘出術、転移巣の摘出術
やはり腎臓を摘出する必要があります。転移性腎癌でも腎臓摘出が予後を改善するされています。単発であれば転移巣も切除する場合があります。
5.術後について
転移がない方の場合は定期的に採血やCTを行い、再発の心配がないかを確認して行きます。通常最初の3年間は3ヶ月から半年おきにCTを行います。
腎癌は手術から10年以上たって再発することもあります。5年以上たっても定期的な経過観察が必要です。
手術以外の治療法もあります。最近腎癌に対しては分子標的薬が使用可能となり、治療効果を上げています。