本邦の頭痛患者数は、4000万人とも言われており、頭痛は国民病の1つです。頭痛の原因は、脳卒中、髄膜炎、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など様々な疾患があります (表1)。
一次性頭痛 |
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緊張型頭痛 |
二次性頭痛 |
薬物乱用頭痛、精神疾患による頭痛 椎骨動脈解離、くも膜下出血、脳出血、静脈洞血栓症 可逆性血管攣縮症候群 低髄圧症候群 副鼻腔炎 髄膜炎 (ウイルス性、細菌性、癌性)、HIV感染 高血圧緊急症、肥厚性硬膜炎、巨細胞性動脈炎、Crown dense症候群、ミトコンドリア脳筋症、脳腫瘍、アミロイドアンギオパチー、橋本脳症 |
その他 |
後頭神経痛、三叉神経痛、Tlosa-hunt症候群 |
表1. 頭痛の原因疾患の一部
頭痛の中でも、片頭痛の患者数は840万人程度おり、20-40歳代の女性で特に有病率が高い疾患です (表2)。片頭痛は、体動で頭痛が悪化し、頭痛以外にも、視野異常、嘔気、めまい、光、音、匂いへの過敏、集中力低下などを伴うことから、仕事や家事などに大きな支障をきたすことがあります。
2021年夏に、片頭痛発作予防薬であるCGRP関連製剤 (毎月1回の皮下注射) が登場し、片頭痛患者の治療は大きく変わりました。当院でも、CGRP関連製剤である「エムガルティ®」、「アジョビ®」、「アイモビーグ®」の3剤の投与が可能です (表3)。
一般名 | 商品名 | 作用機序 | 投与方法/費用※ |
---|---|---|---|
ガルガネズマブ | エムガルティ🄬 | 抗CGRP抗体 (ヒト化抗体、IgG4) |
皮下注射 4週ごとに1本投与 |
フレマネズマブ | アジョビ🄬 | 抗CGRP抗体 (ヒト化抗体、IgG2a) |
皮下注射 1) 4週ごとに1本 |
エレヌマブ | アイモビーグ🄬 | 抗CGRP受容体抗体 (ヒト抗体、IgG2) |
皮下注射 4週間に1本 |
※薬剤費用は2022年4月時点。薬剤費以外にも、外来受診料、処置料などの費用がかかります。支払額は、保険負担額により異なります。 |
表3. CGRP関連製剤
自己判断による鎮痛剤の使用過多は、薬物乱用頭痛を合併し、頭痛の慢性化、重症化を招く場合があります。頭痛は、適切な診断、治療が必要です。頭痛に悩まれている方は、遠慮なくご相談ください。
外来時間
毎週木曜日 13時-15時 (予約制)
予約方法
ご予約はお電話にて承っています。
TEL : 045-366-1111(代)「頭痛外来予約希望」とお伝えください。
※ご予約は医療機関、患者さんのどちらからでも可能です。
担当医師
脳神経内科 荒賀 崇
※学会、緊急患者対応などで、告知なく医師交代、休診となる場合もあるのでご了承ください。
受診希望の患者さんへの注意点
- 患者さんは高校生以上に限ります。
- 外傷後の頭痛は扱っておりません。
- 突然発症の頭痛、今までにない頭痛、手足の麻痺などを伴う頭痛では、脳卒中などの緊急性を有する疾患の可能性があります。まずは、一般外来を受診してください。
- 紹介状のない初診の方は、脳神経内科初診外来 (病院開院日の11時まで受付) を受診してください。初診医師の判断で、他の診療科、他院への紹介となる場合があります。
- 再診外来は、他の曜日、時間、医師になる場合があります。
- かかりつけの医療機関がある場合には、かかりつけ医療機関にご相談いただき、紹介状、採血結果、CD-R などを事前に郵送していただくと診察がスムーズです。
- 他院で各種検査を施行済みの場合でも、当院で再度検査を行う場合があります。
- 当院では、頭痛に対してのトリガーポイント注射は行っていません。
- 片頭痛に対してのCGRP関連製剤導入は、頭痛外来初診時には、行っていません。また、他院でCGRP関連製剤導入済みで、当院での投与継続希望がある場合も、薬剤によっては、初診当日にCGRP関連製剤を投与できない場合があることをご了承ください。
医療機関の方へ
このような頭痛患者さんがいたら、遠慮なくご紹介ください。
- 頭痛の原因精査、診断目的。
- 鎮痛剤、 トリプタン製剤の効果が乏しい。
- 片頭痛の予防薬が必要そうだが、何を選択すればいいかわからない、予防薬の効果がはっきりしない。
患者さんの頭痛に対する不安が強い。 - CGRP関連製剤の適応の有無を判断してほしい。(CGRP関連製剤の導入のみ当院で行い、維持療法目的で再度ご紹介することも可能です。)
- 患者さんが、CGRP関連製剤を導入するか迷っているので、使用した経験などの話を聞きたい。
1.完全予約制になりますので、頭痛外来受診希望時は下記番号で予約お願いします。
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 患者支援センター 045-366-1111(代)
2.可能な限り紹介状の作成をお願いします。採血検査、頭部MRI、CT検査など施行していればCD-Rなども添付していただくと助かります。
宛先:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 患者支援センター (頭痛外来)
〒241-0811 神奈川県横浜市旭区矢指町1197-1
〒241-0811 神奈川県横浜市旭区矢指町1197-1