2018年に足部・足関節外科の専門医が当院に赴任後、足の疾患や外傷で当院を受診される患者さんの数とその手術件数が増加致しました。
足部・足関節はその疾患・外傷の種類が多く専門性が高い分野ですが、この分野特有の創の合併症の対応や術後の荷重制限のために、これに対応した看護や装具の作製、さらには術後の退院・転院支援が必要です。
これらに対応するため、足部・足関節の疾患・外傷に対する高度かつ専門的な医療を、創傷治療やリハビリテーション、装具療法など、治療の全過程で多職種による包括的な治療を提供できる診療体制を構築しています。これにより患者さんが安心して、より高度な医療が受けられることをめざします。
体制
担当:原口直樹、有本竜也
外来日:水曜日、金曜日
足の義肢装具外来
専門外来日:水曜日、金曜日
取り扱っている主な症状・疾患・症例
足部と足関節の障害は多岐にわたっており、診断そのものが困難であることが多く、治療には高い専門性が必要となります。
足部と足関節(足くび)の慢性疼痛や変形を中心に扱っています。具体的には変形性足関節症(軟骨の磨耗による足の痛み)、足関節骨折・踵骨(しょうこつ)骨折後の変形治癒や足関節捻挫の後の不安定症(捻挫ぐせ)、外反扁平足障害、外反母趾、スポーツ障害、足部変形などです。足部と足関節は人体の土台で歩行に最も重要な部分であり、この部分の痛みは日常生活を著しく障害します。
スタッフ紹介
足のリハビリテーション
当院では医師の診察・指示のもとで、理学療法士の国家資格を有するスタッフが入院・外来患者さんのリハビリテーションを行っています。
足部・足関節の疾患・外傷は幅広く、リハビリテーションを行う上では個々の患者さんの状態の理解が不可欠です。当院では術前後の情報共有や転院・退院支援のためのカンファレンスを毎週複数回行っており、患者さんの治療の状態・方針に合わせたリハビリテーションを行っています。
1.身体機能評価
リハビリテーションを行う上では、身体機能を評価し理想的な状態と比較すること、改善しているかをチェックすることが重要であり、以下のような評価を行っています。
- 関節可動域
- 足関節および下肢全体の筋力
- 足部の形態
- 姿勢
- 歩き方
- バランス機能
- 生活、職業、スポーツ活動に合わせた動作能力
2.入院期、外来期のリハビリテーション
足部・足関節の疾患・外傷では、荷重の制限や様々な装具が用いられます。非荷重または部分的な荷重、装具着用時期を含めた歩行方法や日常生活動作方法の指導を行っています。
リハビリテーションの目標は、生活、職業、スポーツなどの活動により良い状態で復帰することです。それに向けた足関節機能改善のための、関節可動域訓練および筋力トレーニング、動作練習等の機能訓練を行っています。
3.足底板(インソール)作成
痛みの緩和や歩きやすくするための足底板を、お持ちの靴に取り付けられる形で作成しています。実際に装着して歩いて頂き、症状や歩きやすさをお聞きしながら微調整してお渡ししています。
4.治療機器を使用したリハビリテーション
超音波治療機器
超音波による物理的刺激により、以下のことが得られる治療法です。
- 温熱効果(痛みの緩和、循環の改善、組織の伸張性の改善、筋緊張の改善、筋収縮機能の改善)
- 非温熱効果(炎症の治癒、むくみの軽減効果)
神経筋電気刺激療法
麻痺や著しい筋力低下が生じた筋の収縮を促すことにより、筋機能回復を促進する治療法です。
専門外来
足の義肢装具外来
当院では医師の診察後必要に応じて、患部の治療を目的とした医師の指示・処方をもとに国家資格を有する義肢装具士が一人一人の身体に合わせて義肢や装具を作製する義肢装具外来を開設しています。既に他院で作製した靴やインソール、装具の調整も行っています。
装具外来予定表
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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9:00~ | 10:00~ | 10:00~ | 10:00~ | |
足専門外来 | 足専門外来 |
義肢装具とは
義肢(Prosthesis)は病気やケガなどにより手や足を失った方が、装着する器具です。義肢は、元の手や足の機能と形を復元するため装着、使用する人工の手足です。
装具(Orthosis)は病気やケガなどにより手や足、腰や首など体の部位に、痛み、損傷、麻痺などが生じたときに、治療の促進や症状の軽減を目的として装着する器具です。治療、リハビリ、日常生活の補助などの目的で使用するものや、関節の変形、傷害の予防や矯正歩行機能の向上を目的とするものがあります。
インソールと靴
機能的インソールや適合型インソール、その他足底装具を用いて足の変形や痛み、負担を軽減する治療や、治りにくい傷の保護、歩行機能の改善を目指します。併せて靴の選び方やコンフォートシューズの相談、変形に適した靴の相談も可能です。病状によっては靴型装具や短下肢装具などの製作も行っています。
義肢装具作製の費用制度
- 訓練用仮義肢や治療用装具を製作する場合には各種医療保険制度、労働者災害補償保険による給付にしたがって払い戻しを受けられる場合があります(償還払い)。生活保護制度(給付要否意見書持参)、自動車事故などの損害保険での製作もご相談ください。
- 身障法第15 条指定医、適合判定医研修会を修了している医師が在籍しており、障害者総合支援法における更生用補装具の作製が可能です。お住いの市区町村にある障害福祉課で医学的意見書を発行していただき、ご持参ください。
- 労災保険指定医療機関指定となっておりますので労災保険での作製も可能です。所管の労働局へ申請手続きを行い、承認を受けた後に必要書類をご持参ください。
診察を受ける前に・・・
インソールは中敷の取り外せる様々な市販靴に入れ換えて使用することが可能です。「中敷きを取り外せるタイプの靴」をお持ちの方はご持参ください。また、現在ご使用の靴や装具・インソールをお持ちの方はご持参ください。