診療録とは、医師記録(いわゆるカルテ)や処方箋、手術記録、看護記録、各種検査記録、診療経過の要約、その他診療の過程で身体状況・病状・治療等について作成、記録または保存されたものをいいます。これらの診療に関する諸記録の正確な記載やその保管、さらには必要な時何時でも利用できる状態で管理することは、医療の安全確保に極めて重要です。また、診療録は健康に関する記録そのものとして重要視されています。
(財)日本医療機能評価機構は、認定に際して診療録管理部門については次の4大項目を設定し、これらに係る中・小項目により詳細に評価します。
- 診療録管理部門の体制が確立している
- 診療録が適切に管理されている
- 診療情報が適切に管理され活用されている
- 診療録管理部門の業務を改善する仕組みがある
具体的には、「診療情報管理士」が次の業務を行っています。
- 退院患者さんの診療録を、量的点検・質的点検を行い、評価する(1987年の開院以来 約31万件)
【ICDコーディング】
診断名をWHOの定める国際疾病分類表ICDに基づいて分類し、コードを付与する
【DPCチェック】
DPC(診断群別包括評価支払方式)における病名・手術等の取り扱いが適切かを点検する - 診療録を1患者1ファイルで中央管理する
- 教育・研究、患者さん退院後の診療、診断書作成・診療情報提供を目的とするカルテの貸出しに応じる
- 開示に伴う事務業務に応じる
- 退院サマリの記載内容と検閲承認の確認、並びに督促と作成・承認状況を報告する
- 症例検索に応じる
- 各種統計資料を作成する
- 各種の調査等に応じる
- 全国がん登録
2016年1月から法制化された「全国がん登録」制度(がんと診断された患者さんの情報を国が集計・分析・管理する仕組み)の登録業務
2019年5月1日に電子カルテシステムが導入されました。
診療情報管理には守秘義務が不可欠であり、患者さんの個人情報および電子媒体に保存されている記録については、
- 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
に基づき、大切に取り扱い、業務に臨んでいます。