大腸癌とは
大腸(結腸、直腸)の内腔側の大腸粘膜より発生し、塊になって隆起したり、潰瘍となり陥没します。また、まれに、大腸粘膜から発生した癌が、表面に発育せず、大腸壁深部を這うように広がります。食生活の欧米化もあり、死亡者数は年々増加しています。 日本人に多い病気であり、40歳を超えたら、毎年検診を受けることが望ましいです。発症要因に、生活習慣があるとされ、赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取、喫煙、飲酒により危険性が高まります。また、遺伝によって発症することがあります。
症状
血便(便に血が混じる)、下血(腸からの出血で、赤又は赤黒い便が出たり、便の表面に血液が付着する)、便が細い、残便感、腹痛、貧血、体重減少、下痢と便秘の繰り返し、腹部膨満、腸閉塞など。
診断
a) 肛門から直腸内に指を挿入し、指の感触で、しこりや異常の有無を調べます。
- 直腸診
b) 大腸の内部より粘膜の凹凸や色調変化をみます。
- 下部消化管造影検査
- 下部内視鏡検査 (異常組織を直接採取して、診断名を確定できる。)
c) 大腸以外の臓器への広がりを確認します。
- CT検査
CTコロノグラフィ(CTのデジタル画像データを使った仮想内視鏡表示や仮想注腸表示) - 超音波検査
- MRI検査
治療
大腸癌の進行程度に応じた治療法が、選択される。
a) 粘膜内または粘膜下層に一部侵入した場合(早期癌)
- ポリペクトミー
病変頚部にスネアをかけて高周波電流で焼灼切除する。 - 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
粘膜下層に液体を局注し、病巣を挙上させ、ポリペクトミー手技で切除する。 - 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
粘膜下層に液体を局注し、病巣を挙上させ、周辺より切開、剥離を進めて、一括切除する。
b) 粘膜下層より深く侵入した場合(早期癌一部と進行癌)
- 大腸切除手術 進行の程度に応じて、アプローチ方法が2つありますが、大腸では、ほとんど腹腔鏡下手術です。
- 腹腔鏡下手術(小さな傷で手術する。創が小さいと手術後の痛みが少なく回復が早いので、早期退院、社会復帰が可能です。)
# 人工肛門が増設される場合
- 癌が肛門近くにあると、肛門を含めて癌を切除する必要があり、その場合は人工肛門になります。但し、極力肛門を温存すべく工夫しています。
- 腸管切除後、吻合(残った腸管同士を繋ぎ合わせる)部位の安静を保ち、縫合不全(繋ぎ合わせ部位の漏れ)を回避するために、離れた上流の腸管を、人工肛門とします。
- 緊急手術で、縫合不全が合併するリスクが高いと予想される場合、吻合せず、人工肛門とします。
# 肛門に近い早期直腸癌に対して,肛門内からアプローチして癌を切除する場合(経肛的切除)があります。
c) 広範囲に進行(大腸以外の臓器へ)した場合
- 大腸切除術 + 抗癌剤治療
- 抗癌剤治療
- 放射線治療
- 緩和手術(バイパス手術など)
- 緩和治療(痛みのコントロールが中心となる)